「家を売って賃貸50年!?」固定資産税の明細から妄想スタートしてみた話

50代に入り、これからの暮らしやお金について考えることが少しずつ増えてきました。
これまでは教育費や生活費に追われ、日々のことで精一杯だったけれど、子どもたちが成長し家族構成も変わってくると、ふと立ち止まって考える瞬間があります。
「老後はちゃんと生活していけるのかな?」
「いつまで働けるんだろう?」
「今の家、このまま住み続ける?それとも手放した方がいい?」
「もし売ったら、今ならどのくらいの金額になるんだろう?」
少し広くなった家を見渡しながら、そんな風に将来の暮らしとお金のバランスを考えるようになりました。
先日、固定資産税の明細が届いたときに、ふと「今の家を売ったらどうなるんだろう?」と興味がわいて、ちょっと試算してみることに。
今回は、固定資産税の明細をヒントに「もし家を売って賃貸に切り替えたら?」という妄想シミュレーションをしてみたお話です。
これから住み替えや資産整理を考えている方のヒントになれば嬉しいです。
これからの住まいとお金を、ちょっと現実的に考えてみた
固定資産税評価額から売却価格をざっくり計算する方法

家を売るときの価格をざっくり知りたいときに「固定資産税評価額」を参考にする方も多いと思います。
よく「固定資産税評価額は市場価格の70%くらい」と言われますが、実はもう少しだけ複雑です。
そもそも固定資産税評価額は、土地や建物に課税するための基準として市区町村が決めるもので、「公示地価(国が毎年公表している土地の標準価格)」の約70%を目安に計算されています。
ところが、公示地価も実際の売買価格(実勢価格)よりは少し低めに設定されています。
一般的には、公示地価は実勢価格の約1.1~1.2倍と言われています。
これらをまとめると、固定資産税評価額は市場価格のだいたい58〜64%程度になるのが目安です。
つまり逆に言うと、ざっくり計算するときは
売却価格 ≒ 固定資産税評価額 ÷ 0.6(目安)
で考えるとわかりやすいかもしれません。
たとえば、固定資産税評価額が2,800万円だった場合
→ 売却価格は約4,500万円前後になる可能性がある、というイメージです。
もちろん、実際の価格は立地や築年数、建物の状態などによっても大きく変わりますが、ひとつの目安にはなりそうです。
この目安を知っておくと、不動産会社に査定を依頼するという高いハードルを超えなくても、だいたいの相場感をつかむことができるのもメリットだと思います。
家を売って賃貸暮らしに切り替えたら?老後資金をシミュレーション

では、仮に固定資産税評価額からざっくり計算して、家を売ったら4,500万円になったと想定してみます。
このお金で、もし今から50年間(100歳まで)賃貸暮らしを続けるとしたら──
シンプルに割り算してみると…
4,500万円 ÷ 50年 ÷ 12ヶ月 = 月7.5万円
ただし、実際には家賃のほかに
- 引越し代
- 更新料
- 修繕負担
- 家具・家電の買い替え
- 予備費
…といった想定外の支出も出てきそうです。
そう考えると、少しゆとりを持って
月5〜6万円以内に家賃を抑えられると安心ラインかな? と思いました。
もちろん実際には、住むエリアや住まいの広さ、設備などによっても家賃は大きく変わってくるので、あくまで目安として考えています。

もちろん、いつまで生きるのかは誰にも分かりませんが、長く生きる前提で備えておく方が、精神的にも安心につながりそうです。
将来の家賃上昇も考えておこう|インフレと老後の暮らし設計
もちろん、家賃はずっと一定とは限りません。
物価の上昇に伴って、将来的には家賃もじわじわと上がっていく可能性があります。
仮にインフレ率を年1.5〜2.0%程度と想定すると、30年後・40年後には今の家賃よりかなり高くなるかもしれません。
たとえば月5万円の家賃でも、30年後には6〜7万円程度まで上昇する可能性があります。
一方、売却した資金(今回の例なら4,500万円)も、銀行預金にそのまま置いておくだけではインフレに負けて目減りしてしまいます。
そこで、資金の一部は安全性を考えつつ少しでも運用しておくという考え方も現実的かもしれません。
たとえば
- 一部を定期預金・個人向け国債・債券などの安定資産に
- 余裕があれば少額を投資信託など成長性のある資産に分散
…というように、資産全体のバランスをとりながら、ゆるやかに運用していくことで、将来の家賃上昇にもある程度備えていけそうです。
「先に抑えめの家賃でスタート → 必要に応じて見直していく」という柔軟さも大切になりそうだなと感じました。
将来の自分を少し助けてあげる気持ちで、今から準備していけたら安心ですね。
想定より家賃は高い?現実的な老後の住み替えを考える
仮に家を4,500万円で売却できたとして、そこから50年間の賃貸生活を想定すると、単純計算で月7.5万円の家賃までならカバーできそう…という試算をしました。
とはいえ、実際に自分の住んでいる地域で探してみると、この金額で借りられる賃貸物件はなかなか見つかりません。
現実を見て、ちょっと愕然としたのが正直なところです。
都市部や人気のエリアでは高齢者向けの賃貸物件も少なく、年齢が上がると借りにくくなるという現実もあります。
高齢者歓迎の賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)なども選択肢としてはありますが、家賃は思っていたより高めになることが多そうです。
もちろん、年金など他の収入もありますが、それだけで家賃をカバーするのは難しくなる場合も。
必要に応じて、定年後も少し働くことを想定しておくのも現実的な選択肢のひとつかもしれません。
少しでも収入源があることで、資産の取り崩しペースもゆるやかになり、将来の安心感につながります。
家を売って終わりじゃない|資産運用と家計管理の大切さ
家を売って大きなお金が手元に入ったとしても、それで全て安心というわけではありません。
むしろその後、限りある資金をどう管理しながら暮らしていくかがとても大事になってきます。
たとえば、
- 毎月の生活費や家賃の支払い
- 想定外の医療費や介護費用
- 将来の家賃上昇やインフレの影響
こういった出費に備えながら、手元の資金を少しずつ取り崩していくイメージになります。
このとき大切なのが資産運用と家計管理のバランスです。
すべてを普通預金に入れておくと、インフレによる目減りリスクがある一方、過度なリスクを取る必要もありません。
また、医療費や介護費用についても不安はつきものですが、公的保険制度を活用すれば実際に自己負担する金額はかなり抑えられる場合もあります。
こうした具体的な仕組みを知っておくことで、必要な備えの金額がイメージしやすくなり、安心感にもつながりそうです。
ちなみに今回の内容はあくまで私の妄想シミュレーションですが、より現実的な金額を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼してみるのもひとつの方法かもしれません。
こうして「取り崩しながらも資産全体はなるべく減らさない工夫」をしておくと、将来の不安がだいぶ軽くなりますね。
住み替えにもいろいろな選択肢があるからこそ安心できる

築年数が経った家は、建物の価値は下がっていくけれど、土地にはまだ価値が残っていることもあります。
家を手放すかどうかは別として、「もしものとき、どういう選択肢があるか」を知っているだけでも、気持ちは少し軽くなる気がします。
最近、子どもたちがそれぞれの道を歩み始めて、気づけばこの家は、一人で住むにはちょっと広すぎるなと感じることもあります。
私はずっと、シングルマザーとして3人の子どもを育ててきました。
だからこそ、「一人でもちゃんと暮らしてるよ」と、子どもたちに心配をかけずに生きていきたいという気持ちも強くて。
持ち家、賃貸、住み替え、リフォーム
これからの暮らしをどうしていきたいか、自分らしく、無理せずに選んでいけたらいいなと思っています。
住まいや暮らし方に正解はなくて、ライフステージや価値観によって選ぶ道も変わっていくもの。今すぐ結論を出さなくても、少しずつ選択肢を知っておくことで、いざという時にも落ち着いて考えられる気がします。